創業時にどの金融機関から借入をするのがいいか

静岡市の公認会計士・税理士の安川です。

 

創業時にどの金融機関から借入をするといいか

という質問を受けたので、簡単にまとめてみます。参考にしてみて下さい。

 

創業時の借入先は、大きく分けて2つです。

「日本政策金融公庫」と「保証協会」になります。

地銀や信金は?と思うかもしれないですが、

事業実績のない事業者に地銀や信金が自らリスクをとって貸してくれる

プロパーと呼ばれる融資をすることはほとんどありません。

どの信金や、地銀に行っても、保証協会がOKしたかどうかで融資の可否が決まります。

実質的な審査は保証協会が行っているようなものです。

そういう意味で、基本は2択になります。

 

2019年8月26日時点で公庫の方に聞いた

創業時の基本的な金利が2.5%くらいということでした。

女性、34歳以下の若手、シニアなどでの金利の優遇はありますが、

当てはまらない場合は、2.5%がベースになると考えられます。

 

一方で、保証協会の融資については、

2019年8月現在では、「開業パワーアップS」という制度融資があり、

金利は1.6%、保証料が無料となっています。

今借りると、保証料が無料なので、金利のみ1.5%で借入ができます。

 

現時点で金利面のみで借入を考えると、保証協会の方が1%近く低くなっています。

基本的には、保証協会の制度融資の方が、現時点ではちょっとお得感があります。

 

飲食店や美容院などの開業を考えている方の場合で、同業者の組合に加盟することを検討している方、

の場合には、公庫を活用すると低い金利を活用できます。

組合加盟が条件ですが、

(組合加盟も、入会1万円程度、月額2千円程度だったと思います。事前に確認してみてください。)

設備資金に関して、1.26%~1.4%程度で借りることが可能になってきます。

そうなると、保証協会よりも低い金利での融資が受けられる可能性がありますので、

組合加盟+公庫の融資というのが金利的に得になってくる場合もあります。

設備資金だけでなく、運転資金もそれなりの金額を借りたいという場合には、

組合加盟+公庫から設備資金+運転資金を保証協会

という協調融資を使うことも選択しの1つになります。

設備資金は公庫から低い金利で借入、

運転資金に関しては、制度融資の1.5%で借入、

ということで、1%代の金利での調達を検討することも考えられます。

多少時間はかかるかもしれませんが、金利のメリットは享受できます。

 

金利以外での公庫と保証協会の大きな違いは、「保証」です。

公庫は無保証人が基本なので、法人で借りる場合に、代表者の個人保証を必要としません。

保証協会は、原則、代表者の個人保証をつけることになります。

事業が上手くいかなかった時の借入返済のリスクについては、公庫の方がリスクがないです。

公庫は法人を破産させれば、個人に返済義務が残りませんが、

保証協会の場合は、代表者が個人保証しているので、

代表者個人が残りの債務を返済していくことになります。

リスク管理という意味では、「保証」についても大きな違いになります。

 

開業する業種や、自分の年齢、性別、などによって金利が変わることもありますので、

話を聞いて、どこから借りるのがいいか、検討していくといいと思います。